インドの森から その2BaBandha村の森 

いよいよ今日から本格的な視察のスタートです。

と、その前にここで現地でお世話になっているタゴール協会のことをお伝えしておこうと思います。1992年インドでの植林スタート当初からずっとお世話になっているNPOで正式には「Tagore Society of Rural Development」といいます。アジア初のノーベル賞受賞者でインドの詩人ラビンナード・タゴールが創設した団体で、西インドの農村中心に各地に支部を持ち、地域に根ざした農村復興支援活動を行っています。今回の視察でも各地の支部でスタッフのみなさんが迎えてくださり、現地の課題やこれからをアツく語ってくださいました。インドの森づくりは彼らなしには語れません。

さて向かったのは拠点のDhenkanalから30kmほど離れた植林地、BaBandha村。ここはインドで一番最初に植林をした村になります。当初は他の地域と同様、一面の荒野がひろがっていました。インドで森が拡がらない理由の一つに、森が生活資源として重要な役割を果たしているということがあります。地域の人たちが森林を伐採し薪や建材として使い切ってしまうのです。せっかく植えて育った樹木も、地域住民の意識が変わらないとすべて資源としてつかわれてしまいます。ここBaBandha村も、元々象が暮らすほどの森林がひろがっていた地域でした。が、人口増加にともなって伐採が進みあっというまに荒野になってしまったのです。
インドは年のうち9ヶ月が乾季。一度伐採してしまった土地を森に戻すのは至難の技なのです。

「地域のコミュニティが一番大切なんだ」

タゴール協会のスタッフは口をそろえてそう言います。だから農村に入ってそれを一緒につくるんだ、と。そのコミュニティの大切さを肌で感じたのがここBaBandha村でした。

【写真2-3】カシュー農園

この地域での植林は土地に適したカシューナッツやマンゴーを中心に行っています。荒野だった大地は今ではプランテーションになっていて、これを地域コミュニティが管理をしています。これが大きな収入源になっていて自立して収益を得れるようにまでなっています。

ここで得られた収入でこの村の人たちはまず寺院を建てました。その寺院がこちら。

【写真2-4−6】寺院の写真2,3枚

せっかく得た収入でなぜ寺院を?と地元の人に聞いてみたら、こう一言。

「BECAUSE WE NEED TO UNITE」

そうなのです。まず地域の心の拠り所をつくること、それが一番大事なんだと。
日本でもそうだったはずです。地域ごとに鎮守の森があって、
そのすぐ側に心の拠り所である神社があって、季節ごとにお祭りがあって、
地域のコミュニティが形成される。人の営みと自然の営みが一体の暮らし。
日本が忘れつつあるものを、ここインドで教えてもらえたように思います。

【写真2−7】やぎの写真等々。

【写真2−8】寺院でお祓いもしてもらいました。

翌朝は7時にホテルを出て電車でコルカタへ戻ります。
またもや車で3時間、電車で7時間の長旅です。